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さて、最後に朝のダウンタウンを覗いてみよう。こちらではゆっくり静かな時が流れていく。地元のカフェやベーカリーには、犬の散歩途中で立ち寄って朝食をテイクアウトする人、そのままオープンエアーの席で熱いコーヒーとマフィンやペストリー類を楽しむ人、新聞をゆっくり読む人と、一人で思い思いの朝食を楽しむ人々の姿が目立つ。知り合いが通りかかって声をかけ合ったりしているのも、地元ならではの光景だ。

美味しいものを食べさせるレストランは多いけれど、もちろん朝からは開いていない。ところが、本格的なイタリアンレストランがこの夏から朝食を開始した。


 
  
古いタウンハウスが並ぶグリニッジビレッジ。素朴な木の外壁と赤い日よけが印象的な「モランディ」は、イタリーのクラシックな地方料理を食べさせるトラットリアだ。店名は、イタリーのボローニャで生涯静物画を描き続けた20世紀の巨匠、ジョルジョ・モランディにちなんだものという。

華やかな話題に事欠かない店である。まずニューヨーカーの間で話題になるのは、この店がニューヨーク飲食業界の寵児、Keith McNally氏の最新の店ということ。

キャメロン・ディアス、グウィネス・パルトローなど、スタイルアイコンとなる俳優やデザイナーも多く訪れ、夜になると、通りの彼方からもその華やかな賑わいぶりが一際目を引く。しかし、朝食を始めたことはまだ近所の人にしか知られていないという。

 
  
一切の責任を負うシェフは女性である。McNally氏が実力とセンスに惚れ込んでスカウトしたJody Williamsさんだ。彼女が得意とするのは、古典的なレシピをきっちりと踏まえながらも、料理に現代的なエッセンスを一ふり加えること。クレープ、ブリュスケッタ、卵料理・・・朝のメニューに並ぶのは「イタリーの朝ごはんの定番と言えるものばかり」という。

しかし例えば、"りんごのクレープ"がジュディさんの手にかかると"Stracciate con mele"に変身する。りんごとクレープを細く切り、くるみと合えて軽く火を入れる。繊細な歯ごたえがとても新鮮。

シシリーのピッツァ、"Sfincione(スフィンチョーネ)"も人気メニューのひとつ。こちらはふっくら焼き上げたピッツァの上に、スモークドフィッシュとクリームチーズ、トマト、レッドオニオンなどが乗った、ボリュームたっぷりの一品だ。

トマトの赤はあくまで赤く、卵の黄身はこくりと濃ゆく。滋養に溢れた料理をたっぷり取っていると、これだけで充実した一日が約束されたような気分になる。

 
  
ところが、のんびりと朝食を楽しむ人に混じって、隣の席では建築家と顧客らしき人々が図面を見ながら打ち合わせ中。下版を見ながら携帯で打ち合わせをしている、デザイナーらしき人の姿も。

所変われば品変わる。でもミッドタウンとダウンタウン、それぞれの流儀で結局は同じことをしている。最近ではミッドタウンの人気レストラン、モダン・ビストロも朝食を始めた。

どうやらニューヨークの朝食シーンはますます多様化しそうである。

MORANDI
211 Waverly Place, New York
ウェブサイト




NILEport NY : Ayano Matsumae

東京大学文学部・美学芸術学科卒業。東京で国内外のアパレル、イベント企画会社等を経て、フリーランスライターとなる。現在ニューヨーク在住、アート、ライフスタイル、フード・カルチャー等をカバー。


   



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