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ニューヨークでは教会がクラブやピザ屋になったり、古い銀行がグロッサリーストアやブティックになったりと、あたかも商業テナントが入れ替わるように、大胆なリノベーションが行われる。地震が少ないせいもあるだろうけど、確かに頑強な「空き部屋」を再利用しない手はない。

一方、アートが巨大化する昨今、美術館やギャラリーの課題のひとつとなっているのが大きな展示空間の確保だ。

6月から9月末までMoMA(現代美術館)で開催されたリチャード・セラ展http://www.moma.org/exhibitions/2007/serra/flash.html 実現にいたっては、作品をインストールできる展示室の大きさについて、建物のリノベーション計画の時点でセラと前館長とが話し合っていた、という経緯があるほどである。

これらふたつの事情がうまい具合に結びつき、まさに今再生しようとしている大型建築がある。

パークアベニュー沿い67thストリートに建つ、パークアベニュー・アーモリーだ。

 
  
1881年に完成した州兵の施設だが、必見なのが、ルイス・C・ティファニーやスタンフォード・ホワイトなど、当時の一流デザイナーが手がけた内装である。中世ゴシックと日本式やムーア式などの装飾要素がドッキングし、時代も国籍も超越したインテリアには凄みと静けさが同居する。(今のところ部屋の一般公開は、特別なイベントの時のみ。)

注目すべきは面積約5500平方メートルの「ドリル・ホール」。東京ドームの10分の1くらいではあるが、これはニューヨーク最大の「柱のない単独空間」である。

昨年12月、ニューヨーク州から建物のマネージメントを引き継いだ新しい団体*が、これを現代アートの殿堂に変えようとしている。従来のアートショーやアンティークショーも引き続き行いながら、新空間では小さな「白いハコ」で展示できない作品や、ただの「舞台」で上演できないパフォーマンスへの対応を目指す。

 
  
その第一弾として先日上演・展示されたのが、アーティストAaron Young氏による "グリーティング・カード"だ。上演時間は7分。

ジャンルとしては「パフォーマンスかつ、アクションペインティング」であろう。

288枚のパネルに、赤、オレンジ、黄、ピンクなどの蛍光塗料でもつれるように描かれた線上を、10台のバイクがランダムに走行、暗闇に白煙と爆音が立ち込める。苦心したのが空調のない空間での安全性の確認。サザビーズやトム・フォードなどのスポンサーが、およそ15万ドルの費用を提供したのも話題になった。

 
  
ちなみに「アーモリー」とは兵器庫、州兵の部隊本部のこと。美術通の方は、1913年に開催された、かの美術展「アーモリー・ショー」の会場を連想するかも知れないが、そちらは隣のレキシントンアベニューに建つ別のアーモリーである。そこからニューヨークの現代アートが花開いたともいえるが、今度はパークアベニュー・アーモリーがまた新しいアートの花壇になろうとしている。戦争とアートのくされ縁か、いや、戦争が枯れた後に咲くのはアートの花ということか。


*The Seventh Regiment Armory Conservancy(第7連隊本部・管理委員会)、
以下の公式サイトでイベント・インテリア詳細が見られる。


http://www.armoryonpark.org/index.php




NILEport NY : Ayano Matsumae

東京大学文学部・美学芸術学科卒業。東京で国内外のアパレル、イベント企画会社等を経て、フリーランスライターとなる。現在ニューヨーク在住、アート、ライフスタイル、フード・カルチャー等をカバー。


    



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