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「Joshua Tree」c栗田紘一郎
 

 
  
「Rock & Reeds」
c栗田紘一郎
 
  
印画紙に和紙を使うのも面白い。「草木から手で漉かれた和紙は、作品のテーマにも合致して面白いのではないか」と考えてのことだった。

テクスチャーも魅力的で、素材としても丈夫。

色々な試行錯誤を重ね、今は越前(福井)の和紙職人に特別に漉いてもらっている。しっとりクリーミーな光沢、自然な風合い。紙自体の持つ味わいが自然物の姿を引き立てており、この感性が西洋の作家と一線を画す個性ともなっている。

しかし、気がかりなことがある。

「お願いしている職人さんは80歳を越えられており、後継者がいません。そして『まず原料となる雁皮を採る人がもういない』と仰る。和紙職人もどんどん減ってきていて、これからどのように手に入れていくか、考えなくてはいけない。」

 
 

 
  
 「Rock on Genet 」
c栗田紘一郎
  
自身も、プラチナプリントという古典技法を伝えるためにワークショップを設け、後進の指導にあたっている。かつては一般に公開していたが続く人がほとんどおらず、今は志願者だけに指導しているという。

「いまやデジタルの時代。みんな便利で手間がかからないことに慣れています。アーティストの中にも、手段は何でもいいから、簡単に感性を表現できればよい、という風潮があるように思えます。

もちろん、デジタルの発展の意義は大きく、実用面だけではなくミュージアムでもその新しい表現の可能性に大きな期待が寄せられております。

ですから、デジタルの登場で、芸術としての写真と実用写真がふるいにかけられ、区分がはっきりしてきた、とも言えます。アートの方向性と価値観の多様化の中で、トラディッショナルなものの底力が実感されているんです。プラチナプリントは、核として必ず残っていくと思います。」

 
  
「Level South」
c栗田紘一郎
 
  
ちょっと風変わりな作品群がある。

ここ数年取り組んでいる、「Perceiving(認知)」シリーズである。

実は人間の視野の範囲は非常に狭い。「ものを見る」時、視線がアットランダムに移動して脳に情報を持ち帰り、その記憶を合体させている、という。

栗田氏は、複数の8x10サイズの写真で光景を切り取り、それらを合体させるという手段で、人がものを見る過程の再現を試みる。

してみると、「認知」は人の視覚と自然の接点で、「見ること」とは、微細な過去の重なりということか。

「自分自身がやってきたことは変わらないし、これからもそうだと思いますが、核心に近づいていると感じますね。」

美しさの中に潜む、自然と人間への根本的な問いかけ。やはりその美しさで人の心を打つ。



作品のお問い合わせはフォトスフィアギャラリー/gallery@fotosphere-ny.comまで


 
 栗田 紘一郎

兵庫県芦屋出身、ニューヨーク在住の芸術写真家。Fotosphere(フォトスフェア)主催。関西学院大学では視覚心理学専攻。最近はオルタネーティブプロセス、特に自然をテーマとした大型プラチナプリントを手がける。作品はパリのBiblioteque Nationale de France、Maison de Europienne de la Photographieを始め、Museum of fine arts Boston、Los Angels County Museumなど米国、日本の主要美術館に収蔵されている。

Courtesy of FOTOSPHERE Gallery
(日本オフィスあり)  
   



NILEport NY : Ayano Matsumae

東京大学文学部・美学芸術学科卒業。東京で国内外のアパレル、イベント企画会社等を経て、フリーランスライターとなる。現在ニューヨーク在住、アート、ライフスタイル、フード・カルチャー等をカバー。


   



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