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Sylvie Fleury 「Skin Crime No. 6」(Eva Presenhuber にて)
 
 
  
入り口を入ってすぐには本格的なバースペースがあり、シャンパンやカクテルを頼む事ができる。まっすぐ伸びた通路に沿って大小のブースが立ち並び、知名度や規模、国籍もバラバラなディーラー達が順不同に混ざり合う。もちろん展示方法も思い思い。

バーの他にカフェやレストランがあり、疲れたらすぐに休むことができる。また、ラウンジでは、生き物のように横たわるボール紙の巨大なベンチに一瞬ひるむ。
「座ってよいのだろうか?もしや作品では?」

しかし、これはデザインコンシャスでエコフレンドリーな家具を総合的に扱うVivaviが提供した、れっきとした実用品。人と待ち合わせしたり、サンドイッチやシャンパンなどを手に思い思いに寛ぐ人々の、憩いの場である。

2000人以上のアーティストの作品が一斉に集合した今回。作品の放つ温度も色調もデジベルも香りも様々で、一つの調子で語りきれるものではないが、全体としてはぎらつく感じが減って、お行儀が良いという印象を受けた。
例えば、Thomas Hirschhornの巨大なインスタレーション「Tool Table」は、確かに誰もの目をひいた。

ニーチェ、サルトル、シェイクスピア、トーマス・ムーア、ルソーなどの著作、ハンマー、のこぎり、巻き尺等、ありとあらゆる大工道具を手にしたマネキンの腕が、巨大なテーブルからにょきにょき伸びている。目を細めれば雑品を乗せて押し寄せる肌色の津波のようにも見えるし、ばらばらな方向を向いた腕は不協和音を奏でている。

  
  
ヒルシェホーンは、セックスやバイオレンスの写真、哲学から文学、チープな素材をごちゃ混ぜにして、破壊的で巨大なインスタレーションを作ることで知られている。してみると、マネキンの腕はどうも毒気がない。例えるなら出汁の薄いみそ汁と言えようか。

 
  
そんな中、むしろドライでシュールで、ユーモラスな「アナザーワールド」をさらりと作って人々を引きつけていたのが、Bellwetherギャラリーのブース。

木材のスロープとその上の巨大な靴は、ブルックリン在住のDaphne Fitzpatrickの作品。ブースは3面を壁で囲んだ舞台のようなセッティングとなっていて、一方の壁にAnne Hardyのシュールな写真が掛けられ、反対ではバスター・キートンの喜劇をモチーフにした別の作家のビデオ作品が投影されていた 。ちなみにFitzpatrickは、くたびれた靴や帽子、ひからびた食べ物などどこか哀愁漂う日常品を、木材やメタルと組み合わせて、淡々としたとぼけた作風のインスタレーションを作る作家だ。



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NILEport NY : Ayano Matsumae

東京大学文学部・美学芸術学科卒業。東京で国内外のアパレル、イベント企画会社等を経て、フリーランスライターとなる。現在ニューヨーク在住、アート、ライフスタイル、フード・カルチャー等をカバー。


   



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