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ジャズの老舗名門レーベル「リバーサイド」のディスコグラフィをたった一人で作り上げた日本人がいる。『RIVERSIDE JAZZ RECORDS』の著者、古庄紳二郎氏である。
リバーサイドといえば、ビル・エバンスやキャノンボール・アダレイ、ウェス・モンゴメリー、そしてセロニアス・モンクといった偉大なジャズマンたちの初期音源のほとんどをリリースした、ジャズの歴史において、とても重要なレーベルだ。
「僕が特に敬愛するセロニアス・モンクを初めて正当に評価した点も評価されるべきでしょう。モンクといえば、奇抜なパフォーマンスがクローズアップされ、変人扱いされることもありますが、極めて優れた作曲家であり、パフォーマーです」
古庄氏は実は今から24年前、同名のディスコグラフィを世界で初めて発表しているが、内容的には満足いかなかった。
「当時すでにブルーノートやプレステージといったレーベルのディスコグラフィはありましたが、なぜかリバーサイドのものはなかった。それなら僕が作ろうと。しかし、データ的にも満足いくものではありませんでした。それがずっと心残りで、いつか全面改訂版をと思い続けてようやくできたのが、本作なのです」
本作の完成を共に夢見ながらも、それを見ることなくこの世を去った男がいた。古庄氏の親友だった著名コレクター、マネック・デーバー氏である。デーバー氏とは、前作や『ジャズ・グラフィックス』『ジャズ・アルバム・カバーズ』を共に作り上げた良きパートナーでもあった。
「彼は僕にとっては兄貴以上の存在でした。彼もまた僕のことを息子のように思ってくれていたようでした。彼とは次はジャケットをすべてカラーで載せようとか、いろんな構想を話し合っていましたから。そんな彼の遺志を引き継ぎ、僕自身、残された時間がそれほどあるわけでもないし(笑)。そろそろ決定版を作っておこうと思ったのです」
リバーサイドレーベルの決定版ディスコグラフィとなるべく制作された本作には、両者の並々ならぬこだわりがいかされている。
「アルバムジャケットのデザイナーと写真家、そしてライナーノーツのクレジットを入れたのはおそらく世界初でしょう。演奏も録音年代順に、セッション毎に並び替えました。さらに、全曲の演奏時間を収載。記録のないものは僕が実際に計測しました。これもおそらく世界初。僕が知りたいことは、他のジャズファンも知りたいだろうと思って載せただけのこと」
さらに驚かされるのは、全420ページもの本作を文字通りたった一人で作り上げたという点である。紹介するレコードジャケットのすべてを自宅で撮影し、レイアウトも、アプリケーションの操作方法を独学で覚えながら組み上げた。データの入力から入校までのほとんどを、一人でやり遂げたのだ。
「これらの作業を外注したらとんでもない金額がかかるから」と古庄氏は笑うが、とてもそれだけでやり通せる作業ではないはずだ。もちろん、ジャズへの愛情だけでできるものでもない。ディスコグラファーという人種(古庄氏は自分をただの一ジャズファンと呼ぶが)が背負うある種の“業”がそうさせるのだろう。圧倒的なデータ量がそれだけで特別な価値をもつことを『RIVERSIDE JAZZ RECORDS』は教えてくれる。これは間違いなく偉業なのだ。 |
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