欧州Dセグメントのプレミアム・セダンは長きにわたり、その人気に微塵も陰りがみられない。ニューモデル誕生のたびに叶えられる、ため息もののデザインと高められた走りの質の中には、ブランドの血統と伝統が重厚に息づいて、存在そのものが深い魅力となっているからであろう。
アウディA4もまた然り。ことさら高速域での安定性や、居住性に優れたボディといった特徴は1972年デビューの『アウディ80』時代から受け継がれてきたものだ。当時ヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーを獲得したこのFF前輪駆動モデル以来、先代モデルまででじつに世界中で850万台以上が販売され、さらにアウディラインナップ総生産台数の約40パーセントを占める『A4』だけに、この新型A4はメインモデルとしての使命を担ったフルモデルチェンジを遂げたのだ。
たたずむその姿から受ける最初の印象は、低くダイナミックに、よりスポーティに変身した全体のシルエットであろう。前輪車軸を前方に移動したことでフロントオーバーハングが短くなった。フロントエンド最大の特徴であるシングルフレームグリル、その左右には個性的な「ウィング」エレメントのLEDポジションランプ。サイドビューは、フロントとリアのホイールアーチに沿って伸びるトルネードライン、その下部のダイナミックラインとで織り成す複雑な曲面デザインが光線の加減でその表情を変えながら、クーペのように流れるルーフラインとともに、スポイラーリップを備えたテール部へと、じつにエレガントなプロポーションを作り出す。リゾートへと出向くにも、高層ビルの只中を駆け抜けるにも、どちらも捨てがたい、そんな走り心をそそる存在感だ。
先代モデルより全長、全幅ともに大型化、室内スペースも広くしながらもボディシェルは10%近い軽量を実現した新型A4に搭載されるエンジンは2種類。新設計V6直噴DOHCエンジンの『3・2FSIクワトロ』、そして直列4気筒直噴ターボエンジンの『1・8TFSI』である。『3・2FSIクワトロ』はその名のとおりフルタイム4WDシステムを採用、電子制御6速オートマチックトランスミッション「ティプトロニック」とのマッチングによるそのスポーティテイストはまさに圧巻。
前後駆動配分を従来の50対50から、新型では40対60と後ろ寄りにしたところが俊敏な旋回と強力なトラクションを両立したのだ。さらに可変ステアリングギア比を備える「アウディ ダイナミック ステアリング」、エンジン、トランスミッション、ステアリング、サスペンションの作動特性を好みに変更できる「アウディ・ドライブ・セレクト」もオプション設定され、さてこのA4でどんな走りをしようか、と想像するほどに心躍る。
| |  |  |  |  |  |  | | | | 『1.8 TFSI』はアウディが「マルチトロニック」と呼ぶ8速マニュアルモード付きの無段変速機(CVT)と組み合わせ、前輪を駆動する。その走りは低回転からトルクフルでパワフルながら、新種のソフトライド感に満ちて快適そのもの。 | | |
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