低成長時代のデリバティブ投資
ひまわり証券株式会社 投資情報室 チーフアナリスト 堀川秀樹

存在意義が高まるデリバティブ取引
低成長の長期化が予想される日本経済にあって、資産運用におけるデリバティブ(金融派生商品)の存在意義は高まっています。右肩上がりの経済成長を遂げていた時代のように、日本株式や日本株の投資信託をもっていればそれだけで資産が増える時代は終わったのです。

だからこそ投資家の興味は、海外の投資ファンドやヘッジファンド、海外不動産へと向いているわけです。なかでも私がお勧めするのは、デリバティブの1つである「日経225先物取引」です。市場における個人シェアは10%を超え、個人投資家の注目も高まっている注目株と言えるでしょう。

「日経225先物取引」は、東京証券取引所を代表する225銘柄の日経平均株価の、あらかじめ決められた期日における価格を予測して売買する取引です。

具体的に説明すると、一定の期日に日経平均株価が上がると思えば、日経225先物を買う人が増え、逆に下がると思えば売る人が増えます。その値動きを利用し、反対売買(安く買って高く売る、または高く売って安く買い戻す)を行うことで利益を上げる手法です。

証拠金取引のレバレッジ効果に注意
先物取引には、ご存じのように「証拠金取引」という売買の特徴があります。売買代金の全額は必要なく、少ない証拠金を担保として差し入れることで取引が可能となるものです。これがレバレッジ取引です。

日経225先物取引の場合、売買の単位は1枚単位で表され、1枚の指数は1,000倍の取引となるので、日経平均株価指数が1万4000円なら、1400万円分に相当します。この1400万円分を1枚あたり79万円の証拠金で売買するレバレッジ取引だけに利益は大きいのですが、逆に膨大な損失を被る可能性もあることに注意しなければなりません。

個人投資家が先物取引で大きな損失を出してしまうパターンは決まっています。たとえば平均株価が1万6000円から1万2500円に下がって行く過程で、1000円値下がりした1万5000円時に日経225先物を1枚買い増すとします。その後1万4000円に下がった時に、すでに評価損を抱えているにもかかわらず、さらに1枚買ってポジションを増やしてしまう人がいます。これが最も危険なパターンなのです。

この場合は、本来ならいったん1万5000円で買ったものをロスカットしたうえで、しばらく後に1万4000円で買い直すべきところです。自分の相場観が間違っていたのにもかかわらず、さらにポジションを大きくしてしまうことが、莫大な損失につながってしまうのです。

投資の選択肢を広げるオプション取引
こうしたリスクを避けるべく、「オプション取引」と言われる手法を組み合わせれば、より着実にリターンを狙うことが可能となります。

「日経225オプション取引」とは、日経平均株価を決められた期日に指定した価格で、売買する「権利」を取引することです。売買契約である先物取引との違いは、権利の取引ですから、売買が自分に不利となる場合は権利を放棄できるところでしょう。つまり、オプション取引の買い手は損失を限定できるという点が最大のメリットと言えます。

1万4000円のコールオプションを買った場合、決められた権利行使日に日経平均株価が1万4000円以上なら権利が行使され、買い手は超過部分の金額を受け取ることができます。1万4000円以下ならコールオプションの買い代金のみ失いますが1万4500円なら、買い手はオプション1枚で50万円を手にすることができるのです。

また、オプションの売り戦略を用いることで、比較的簡単な相場の大まかなレンジを当てるだけで利益を上げることが可能になります。これも、デリバティブ取引のメリットの一つでしょう。株式を購入した場合は、株価が上がらない限りリターンはありません。しかし、デリバティブなら株価が上昇せずとも(横ばい、または下落でも)、自分の相場予想がある程度当たっていればリターンを上げることができるのです。

たとえばこの先1カ月の間に日経平均株価が3000円上昇するかと問われれば、ほとんどの人はノーと答えますよね。それをそのまま取引に反映できる。そこまでは上昇しないという簡単な予測に賭けて、実際株価が上昇せずとも、投資元本に対して月率5%のリターンを狙うこともできる、そんな取引なんです。

もちろん、個人投資家の相場予測ほどあてにならないものはありません。我々のプロによる予想もまたしかりです。ただし、デリバティブ運用なら、大まかに予測するだけでいい。デリバティブ取引のルールや仕組みを覚えることによって、投資の選択肢を広げることが可能となります。
 
1990年日興證券入社。92年より運用開発部デリバティブ開発課にて日経225型、TOPIX型の裁定取引の運用執行を担当。同時に先物システム売買の手法開発を始め、自ら開発した逆張り型、トレンドフォロー型の二種類のシステム売買の運用を行う。その後、投資工学研究所や投信営業、株式ディーラーなどを経て、2004年よりひまわり証券株式会社投資情報室室長。著書に『日経225先物取引入門』(同友館)。
 

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