ふえき・ゆうこ
1979年、東京生まれ。2001年9月に渡韓し、ドラマ『我が家』で韓国デビュー。その後、「ユミン」として大きな人気を集める。ドラマ『オールイン』『ガラスの華』、映画『青燕』『アパートメント』などに出演。数多くのテレビ番組の司会やCM出演も果たし、韓国で最も有名な女優となる。2006年に活動のベースを日本に移す。日韓で活躍している。最新作として、NHK『陽炎の辻2』(9月6日(土)19時30分スタート)にレギュラー出演する。
「日本人は韓国のことをどう思っているのか?」と、今でもよく尋ねられます。というのも、韓国の人たちは日本をすごく意識していて、いろんなことを知っているからです。
それと同じくらい日本人が韓国のことを知っているかどうか……。ですから、はじめて韓国に渡ったとき、この温度差には驚かされました。
韓流ドラマのおかげで、今でこそ、韓国は身近な存在となりましたが、当時は日韓ワールドカップも開かれる前でしたし、関心を持っていた日本人は少なかったんです。
それでも、渡韓を決意したのは、一本の韓国映画との出会いがあったから。『八月のクリスマス』という映画を大好きになって、韓国映画に出たい! そんな想いがどんどん募っていきました。
実際、韓国に行き、『猟奇的な彼女』という映画を観たとき、自分を信じて、韓国に来て良かったと改めて感じました。というのも、これがすごく面白かったんです。
映画が好きになって日本を飛び出したのに、現地で観た作品がつまらなかったらショックですからね。韓国映画やドラマの魅力はなんといっても、ジェットコースターのように急なストーリー展開ではないでしょうか。恋人同士が実は兄妹だったり、突然の不幸が降りかかったり、家族や嫁姑の確執があったりと、日本のドラマと比べると、"あり得ない"設定だらけなのですが、そこがとても面白くて、全然飽きないんです。それに、日本人は感情を遠まわしに言う、それこそが美徳だと言われますが、韓国人はむしろ逆。ストレートに感情をぶつけあいます。
そういう表現の違いがとても新鮮に感じられ、韓国がますます好きになっていきました。こうした"違い"はドラマのストーリーだけじゃなく、現場にも見られます。韓国のドラマのオンエアは週2回。1週間に2本撮らないといけないので、かなりハードなスケジュールになります。夜中に屋内セットで撮影して、夜が明けたら外で、そして日が沈んだらまた屋内で……。この繰り返しなんです。
だから週に1回家に帰れるかどうか……。 あまりに大変な収録なので、スタッフは2チームに分かれます。最後には監督も2人になる、ということもよくありましたね。
台本は、前日にできれば良い方で、撮影当日の朝のときもあるし、台本のあがりを現場で待ったこともありました。日本の撮影現場とはシステムが全く異なっていて、心身ともにハードな毎日でした。
もちろん、韓国に行く前から、本や映画を通じて日本との間に文化の違いがあることは頭では分かっていましたが、やはり容姿が似ていますから、習慣も似ているだろうと考えてしまって……。
カルチャーショックも数知れず。例えば、食事のマナーです。韓国では食器をテーブルに置いたまま食べますし、ご飯はスプーンを使う、食器を手に取り、ご飯はお箸、という日本とは違いますよね。 だから、日本人であることを前面に出して仕事をすると、バイアスがかかるだろうし、親近感をもってもらえないかもしれないと思い、ユミンという名前で活動していました。
でも、ちょうどひとつのドラマの収録が終わるころ、ある新聞のインタビューで実は日本人だということを明かしたんです。
ある程度予想はしていましたが、今まで応援してくれていた人が急に離れていき、それがとてもショックでした。 それでも一人の人間として私を見て、応援して下さる人たちもたくさんいましたので、その方々のためにも、がんばらなければいけないと思いました。
何より、韓国映画に出るという当初からの夢や目標がありましたから、ここで諦めるわけにはいかない、そういう想いでつらいときを乗り越えました。 一方で、念願が叶い、映画に出演できた悦びはひとしおでした。また、ずっとやりたかった『人気歌謡』という歌番組の司会をやらせてもらえたことも、忘れられません。
今振り返ると、チャンスはたくさんありそうで、実は少ないんですよね。数少ないチャンスをもらったときに、力を発揮できるように常に準備を怠ってはいけないのでしょうね。チャンスが来てから努力しよう、ではもう遅いんです。しかも、幸運は、日ごろ自分を磨いている人のもとにしか来ないのだと、今では実感しています。 私が仲介役となり、お互いの国をもっと身近に感じてくれる人が増えるといい。日本と韓国の架け橋のような存在になれたら、これほど嬉しいことはありません。そのためにもますます精力的に活動していくつもりです。 (談)
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