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日本経済を直撃した米国経済の減速と原材料高騰
先頃発表された政府月例経済報告は景気後退局面に突入したことを示唆し、2002年2月からの戦後最長の景気拡大局面が終わった可能性を認めました。今年6月の輸出額が4年7カ月ぶりに前年同月割れするなど経済指標もここまで景気拡大を引っ張ってきた企業活動が弱まっていることを示しています。実際には2007年の暮れ頃から日本経済は減速していたとみられていましたが、その要因は主に2つ。「米国経済の減速」と、「原油を中心とした原材料高騰」です。

外需に依存した日本経済は、サブプライム問題や原油高を背景とした米国経済の失速の影響をもろに受けてしまったかたちです。米国内の住宅バブルの崩壊によって個人消費は悪化。ガソリン価格の高騰は車社会である米国にとっては、さらなる打撃となりました。

原油を中心とした原材料の高騰は、日本経済にも深刻なダメージを与えています。原材料高騰によるコスト増は企業収益を圧迫。そのしわ寄せは特に中小企業へと向かい、コスト削減だけでは吸収でない分野においては値上げが相次いでいることは周知の通りです。価格転嫁された生活必需品の値上げは、所得の伸びない家計にとっては大きな痛手です。所得は伸びないどころか、賃金は抑制される傾向にあり、個人消費はさらなる冷え込みをみせる、という悪循環に陥っています。世界経済の停滞を招いた原油価格はやや落ち着きをみせ、現在1バレル=120ドルを切ったところ(8月11日現在)。今後、適正価格に向かって、調整が進む可能性もあるとみています。

今回の景気停滞はそれほど長引くとは思いませんが、その後の成長率についていえば、ネガティブな見方しかできません。少子化による人口減、そして個人消費の縮小など、潜在成長率はどうしても低くならざるを得ません。となれば今後企業はグローバルに展開していく企業が伸びるでしょうし、非製造業においては、さらなる生産性の向上が求められるはずです。
アール・ビー・エス証券会社 チーフエコノミスト 山崎 衛 画像
対中輸出の増加変わらぬ米国依存度
今回の景気後退にみられるように、多極化する世界経済にあってもなお、米国経済は日本経済に多大なる影響を与える存在であるわけです。戦後長らく、我が国の経済・政治外交政策はすべて米国を中心としてきましたが、ここにきて大きな変化がみられるようになりました。近年の中国の台頭によって昨年、日本の輸出全体における米中両国の割合がわずかながら逆転し、中国が日本の最大の輸出先となったのです。

両国のシェアはそれぞれ約20%とほぼ同等です。しかし、こうした数値には表れない違いがあります。たとえば、日本企業の米国における現地生産の増加です。米国はしかも最終製品の大きな市場でもあります。中国経済の急成長は、相対的に対米輸出のシェアを下げることになりましたが、依然として米国経済は今後も日本経済を左右する重要な要素であり続けるはずです。

グローバル化する経済新興国の成長率に注目
とはいえ、日本経済および一般投資家である読者にとっても、中国や新興国経済の重要度は今後さらに増していくはず。中国経済の行方については意見の分かれるところでもありますが、その成長率のポテンシャルは、確かに高いものがありますし、豊かな層が増えれば中国の消費社会化はさらに進むことは間違いない。

ただし中国市場にもやはり少なからずリスク要因があることも忘れてはなりません。最も大きなものは、都市と農村の経済格差です。この大きな溝が社会的不満を増幅させ、混乱を生じる可能性も否定できません。
政治的リスクや深刻な環境問題までさまざまなリスクがありますが、しかし長期的にみれば、その潜在的な成長率の高さは無視できないものがあります。

IMFによれば、2000年に66%だったG7のGDP比率は2007年には56%。わずか7年で10ポイントの下落です。2012年には50%までになると予想されています。世界経済に占める新興国のウエートが高まることは間違いありません。

こうした新興国の加速する成長率に着目していれば、昨今の資源高もある程度先読みできていたかもしれないのです。日本のマスメディアは経済ニュースに限らず、今日でも米国偏重の傾向があります。しかし、多極化する世界経済にあっては、米国以外の諸地域にも目を向けざるを得ません。一般投資家もまたグローバルな視野を確保すべき時代なのです。

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