さらにその後、思わぬ事態が発覚した。 「滝」は、環境への配慮も怠りない、エコフレンドリーな作品・・・ ・・・のはずだった。
調査チームと技術チームの協力のもと、吸水ポンプ周りに給水プールを設置して水中生物を守り、オペレーションは「クリーンエネルギー」、夜のライトアップにはLEDを使用。
しかし、そうは問屋が許さなかった。 滝周辺の草木達が、被害者となっていたのだ。
公開後間もなく、滝の設置されたブルックリン橋のたもと、有名な「リバーカフェ」のガーデンの草木に枯れ葉が広がり始めた。さらに、歴史地区であるブルックリンハイツの街路樹にも同じ現象が報告され、8月初め、それらが滝の飛沫による塩害と認められた。
「とばっちり」とは、このことを言う。
8月27日には、ブルックリンハイツの地元組合が、滝を止めるための抗議に参加することを表明。
しかし、事態はあっけなく収束する。一連の動きを追っていたブルックリン地元紙、「ザ・ブルックリン・ペーパー」の紙面に「勝利!」の文字が踊ったのが、そのわずか3日後だ。
ニューヨーク市が、滝の流水時間を半分以下に短縮すると表明したのである。また、記事によると、滝の主催団体は、塩害の可能性が浮上した時点から、毎日被害にあった草木を浄水ですすぎ、土壌の洗浄を続けているという。
主催団体の、迅速かつ誠意的な対応に関係者も溜飲を下げた。 参考に付け加えると、ニューヨークの大型パブリックアートの成功例として、2005年2月の「The
Gate」が挙げられる。
 | | | | | こちらは、セントラルパークの道という道にオレンジ色の「ゲート」を設置して鑑賞者がその下を歩く、という作品で、日本の神社の鳥居がヒントになったそうだ。2100万ドルと言われる制作費は、全て制作者であるクリストとジャン・クロード夫妻が負担した。夫妻は、何度も拒絶されながら、27年越しでプロジェクトを実現した。2週間の展示期間中、ニューヨーク市にもたらされた経済効果は2億5400万ドル。
今回のウォーターフォールは、1977年に設立されたNPO「
パブリック・アート・ファンド」が、オラファー・エリアソンにコミッションしたもので、同団体が費用も全面的にカバーした。
門、滝、両プロジェクト共に、お金の出所はプライベートで、公共事業ではない。しかし、ハコを作るよりよっぽど有意義で賢い方法ではないか。
撤去してしまうので、維持や管理等その後の負担が一切かからない。何かを後に残すことは、金銭的にも環境にも負債を残すことだ。
「足場と滝」の組み合わせは理解されなかったけれど、皮肉な事に、この「とばっちり」事件によって、むしろ人々に、人がどれだけ配慮しても人為活動は結局環境への痕跡を残すという根本的なことに気づかせた結果となった。どうやら作者の思惑以上の効果を発揮したようだ。 |