セントラルパークの西側に広がるアッパーウェストサイドは、ヤッピーの住む街のイメージだが、高級アパートやコンドミニアムに地元の商店などが入り交じり、気さくな雰囲気が漂う。ダコダハウスも建っている。訪ねた日は、通りでクラフトマーケットが開催されていた。
インテリアデザイナーKelly Giesenさんの部屋は、ごく普通のアパー トの11階。しかし、扉を開けると、乙女の夢を集結させたような白亜の別世界が広がっていた。
優美な模様が施されたガラスのドアや戸棚の扉、クラシカルな柱、洗面台やバスタブ。これらアンティークの建具や設備は、ギーゼンさんが前の自宅、アンティークショップ、ヨーロッパの古い家など様々な場所から調達したもの。 ギーゼンさんは、それらの資材探しを「宝探し」と呼ぶ。古い建築物の資材を活かし、そこにモダンな味つけをするのが定番のスタイル。
最近のお宝は、花火のような個性的なライト。メトロポリタン・オペラハウス改装時に売りに出ていたシャンデリアを入手、分解してパーツを組み合わせ、仕立てたものだという。
グレニッチビレッジはダウンタウンの西寄りに位置する。オー・ヘンリーやエドガー・アラン・ポーなどが暮らしたことで有名だ。
また、20世紀に入り、60年代まではアーティストが流入し「ボヘミアンの街」と呼ばれたが、今では周辺にブルーノートを始めとするジャズハウスや、小さなバーやレストランが軒を列ねる商業地域となった。
レンガ作りの古い建物が並び、馬車小屋を改造したレストランを見つけることもある。
この度訪ねたのも、馬車小屋を改造した一軒家。19世紀と20世紀初めに造られた大小2軒の馬車小屋を合体させたというユニークなものだ。
オーナーは建築家のコンビ。調度品はアンティークやビンテージ、インテリアは英国調のクラシックなテイストでまとめられている。冬、暖炉に火が入れば、ますます雰囲気が出るだろう。
面白いのは2階部分の回廊の利用の仕方。リビングを大きな吹き抜けとし、上に回廊を巡らせている。そして表通り側にはベッドルームと書斎を配置。反対の裏庭側には大きく窓を取り、椅子とカフェテーブルを置いて、回廊そのものを小さな寛ぎの空間に利用している。
全く違うロケーションの個人宅を訪ねて感じたのは、街の個性とインテリアの個性が大きく通じ合っていることだ。好きな街と一体となって暮らしているという感じを受けた。
参加したいプログラムは色々ありながら、今回訪れることができたのは2日で10件。週末のニューヨークの地下鉄がほとんど当てにならないこともあるが、実は 公開日時や方法など、各サイトの方式の一貫性のなさによるところが大きい。
しかし、そもそも見ず知らずの他人にリスク覚悟で進んで室内を見せてくれるという、その心意気が素晴らしいではないか。
Photo by Ayano Matsumae
NILEport NY : Ayano Matsumae
東京大学文学部・美学芸術学科卒業。東京で国内外のアパレル、イベント企画会社等を経て、フリーランスライターとなる。現在ニューヨーク在住、アート、ライフスタイル、フード・カルチャー等をカバー。