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NY Report vol.100 Dia:Beacon(ディア:ビーコン)(1) −お菓子の箱からアートの箱へ
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Aerial view, Dia:Beacon(ディア:ビーコン), Riggio Galleries, 2002. Photo: Michael Govan. cDia Art Foundation.
Aerial view, Dia:Beacon, Riggio Galleries, 2002. Photo: Michael Govan. cDia Art Foundation.
Interior view (window detail), Dia:Beacon(ディア:ビーコン), Riggio Galleries, 2003. Photo: cRichard Barnes.
Interior view (window detail), Dia:Beacon, Riggio Galleries, 2003. Photo: cRichard Barnes.
前回はハドソン川の西側を北上したが、今度は対岸を北上する。マンハッタンからやはり車で1時間半ほど、ハドソン川のほとりにビーコンという街がある。
ここに、2003年にオープンした唯我独尊のコンテンポラリーアート・ミュージアム『ディア:ビーコン』がある。ディア・アート財団が運営する、6つ目のアート・サイトに当たる。
見かけはいたってシンプルだ。
小さな前庭に、季節ごとに大きく表情を変えるヨーロッパ・シデ、山査子などの並木が数列、その奥には折り箱のように平べったいレンガ造りの建物がひとつ。 もとは1929年に建てられたナビスコのパッケージ工場だった建物で、お菓子の箱を作っていた場所が、アートの箱に生まれ変わった訳だ。広さは21000㎡。東京ドームの半分近くである。
ファサードをくぐる。薄暗いレセプションエリアの向こうに広がるのは、天窓から柔らかな自然光がたっぷり注ぐ二つの大展示室。中央の一枚の壁を挟み、翼のように左右対称に広がっている。
今ここには、ドイツの作家、イミ クネーベルの『24 Colors』(1978)が展示されている。 不規則な幾何学形をしたパネル21枚が、一枚一枚違う色に塗られて、ゆったりと壁に並んでいるだけ。しかし、その姿はどこかユーモラスで躍動感に満ちており、なぜかマティスの傑作『ダンス』を思い出す。
Richard Serra, Torqued Ellipse II, 1996; Double Torqued Ellipse, 1997. Dia Art Foundation; gift of Louise and Leonard Riggio. 2000, 2000. Dia Art Foundation. Photo: cRichard Barnes.
Richard Serra, Torqued Ellipse II, 1996; Double Torqued Ellipse, 1997. Dia Art Foundation; gift of Louise and Leonard Riggio. 2000, 2000. Dia Art Foundation. Photo: cRichard Barnes.
この部屋を抜けると一旦薄暗い廊下に出る。
ここから、いよいよ壮大なアートラビリンスへ出発だ。
館内には無数のギャラリー(部屋)が連続する。部屋と言っても、とにかく広い。ここはラグビー場か?という部屋もある。そこに巨大な作品が、涼しげな顔で収まっている。
圧巻なのは、リチャード セラの空間だ。
半地下に下りて行くと、巨大な鉄の楕円の塔が4基。それぞれ高さ4mはある。今にもゴゴゴと不気味な地鳴りが聞こえてきそうな大迫力だ。
作品タイトルは『Torqued Ellipses(ねじれた楕円)』。
タイトル通り、それらの楕円の壁面はねじれ、歪んでいる。外見も十分異様だが、切れ目から中に入ると、もっと異様なことが起こる。中にもう一枚の壁があり、まず両側から重くゆがんだ力を感じる。壁に沿って歩くと、ねじれた平面の世界に、平衡感覚を完全に奪われるのである。4つの塔を体験すると、その後しばらく膝がガクガクするので注意が必要だ。
作品収蔵作家には、ドナルド ジャッド、アンディ ウォーホル、ウォルター デ マリア、マイケル ハイツァー、ヨーゼフ ボイス、ゲルハルト リヒター、ソル・レウィット、ダン フラバン、ロバート スミスソン等々、60-70年代の大作家が名を連ねる。60-70年代と言えば、アーティスト達が突拍子もないスケールでアートの限界と定義を探ろうとしていた実験的な時代。
ギャラリーのほとんどは、それらの作家の作品の永久展示を前提に、作品と一体となるようにデザインされている。直島の地中美術館と同じ考え方だ。 しかし、こちらのルーツは30年以上前に遡る。
Dia:Beacon 公式サイト: http://www.diabeacon.org
プロフィール
NILEport NY : Ayano Matsumae
東京大学文学部・美学芸術学科卒業。東京で国内外のアパレル、イベント企画会社等を経て、フリーランスライターとなる。現在ニューヨーク在住、アート、ライフスタイル、フード・カルチャー等をカバー。
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