中世の趣を色濃く残す銀の道を旅するなら、パラドールに宿泊したい。スペイン全土にある国営のホテル“パラドール”は、歴史的建造物である中世の古城や宮殿、修道院などを国が買い取り、あるいは借り受けて修復を施し、一級のホテルとして甦らせたもの。歴史上の建物に宿泊し、直に触れることができるとあって、世界中の旅行客に人気だ。
アルハンブラ宮殿の修道院を利用したホテル・サンフランシスコや、カルロス5世が実際に暮らしていたハランディーヤ・デ・ラ・ベラが特に有名だが、銀の道の街道沿いにも、魅力的なパラドールは数多く存在する。
まずは、セビーヤ郊外にある高台の街カルモナのパラドール。もとは14世紀に残酷王と呼ばれたペドロ1世の居城で、その後19世紀末に再建されたもの。ゆったりとした客室に美しい庭園、パティオ、噴水などが豪華な城の暮らしを演出する。予約の絶えない人気のパラドールの一つだ。
イスラム時代の要塞跡に15世紀になって建てられた城塞兼宮殿がパラドールとなっているパラドール・デ・サフラ。その円柱塔は、サフラのランドマークだ。そのてっぺんからは白い街を一望することができる。重厚で堅牢な外観と、居城として改築されたゆとりある内部空間が調和。レストランでは民族衣装に身を包んだウェイターが運んでくれる人気の郷土料理を楽しみたい。
こうした歴史的建造物や、その地方独特の様式で建てられたものだけでなく、たとえばサラマンカのように、近代的な建築物のリゾートホテルライクなパラドールもある。
旧市街の南側を流れるトルメス川対岸の小高い丘の上にあるこのパラドールの魅力は、街に面したラウンジや客室よりローマ橋や旧市街を一望できる絶好のロケーションにある。夜になれば窓の外には、ライトアップされたカテドラルを中心とした街並が暗闇をバックに浮かび上がり、その幻想的な風景をワイン片手に心行くまで楽しむことができる。
文化財の保存や修復の費用を生み出すとともに、旅行客には一級のサービスを提供するパラドール。中世スペインの旅の拠点として利用したい。
セビーヤ郊外のカルモナの街は、フェニキアやカルタゴ、ローマ、西ゴート、アラブ、ユダヤ、キリスト教徒など数々の集団に支配され、軍事上の要所とされてきた。その影響は美しい庭園やプール、パティオ、ムデハル様式の噴水などに色濃くあらわれエキゾチックな雰囲気を漂わせる。
2000年にオープンしたプラセンシアのパラドール。15世紀に建てられた修道院を改装。食堂や礼拝堂がほぼそのままの形で残されており、それぞれレストランやサロンとして利用されている。修道士気分でホテルステイを楽しめる。中段左:パラドール・デ・サフラからの眺め。もとは、エルナン・コルテスがメキシコ遠征の前に暮らしていた城。街の中心部にあるその円柱塔からは赤く染まるサフラの美しい夕方の街並を一望できる。