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NY Report vol.106 Art Basel Miami Beach(3)−マイアミ個人コレクター達の動きⅡ
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デュシャンの有名な「Fountain(泉)」から名を取った前衛アート展の看板 © Ayano Matsumae
ウィンウッド・アート地区にて。デュシャンの有名な「Fountain(泉)」から名を取った前衛アート展の看板。 © Ayano Matsumae
複数のアートショーで見かけた、Julian Opie, This is Shahnoza in 3 Parts(2008) © Ayano Matsumae
アートを買うのはなぜか。「好きな作品を手元に置きたいから。」もっともな理由である。「投資目的」という人もいるだろう。しかし『収集』となると、話は別である。 NYのグッゲンハイムミュージアム、ホイットニーミュージアムなどは創業者である個人コレクターの情熱とテイストから生まれたミュージアムだが、時を経て、今ではその運営はプロフェッショナルな集団にバトンタッチされている。
しかし今マイアミでは、創設者達が最前線で動いている。
「アート収集は活動家としての目的を必要とする。」
地元紙のインタビューにこのように答えているのは、希望者に対して誰にでも自宅を開放し、コレクションを見せているローザ・デ・クルツ女史である。社会主義化した故国キューバから、1976年に夫と共に亡命して来た。「私は何が作られるべきで、何がなくなるべきか、よく分かっています。」
そして、アートシーンは『ギビング』でなくてはならない、と言う。「もしそれが自己の甘やかしであれば、すぐに失われてしまうからです。」
Jean Dubuffetのソロショー(ABMBブースにて) © Ayano Matsumae
購入しても自身での公開が難しい作品はミュージアムに寄付する。目的は所有ではない。作品にとって、ベストなコンディションで公開することである。
目下、デザイン地区に、とりわけ深く収集しているアナ・メンディエタ等の作品を公開するためのスペースを建設中で、さらにダウンタウンには、未公開コレクションの公開と、教育・リサーチを目的としたアートスペースをオープンする予定であるが、そこではオープニングも含めて、お約束のパーティーは一切なしだ。
クルツ女史は、イベントばかりが目まぐるしく回り、純粋に社交場となっているアートシーンを憂え、「まさに今、スローダウンして作品と向き合う時」と呼び声をかける。
Jaume Plensa, Kneeled Shadow(2008) (ABMBブースにて) © Ayano Matsumae
先ほど登場した『マルグリス・ウェアハウス』においては、アートの公開が別の社会活動と明快に結びついている。ウェアハウスの入館料は、マルグリス氏の妻、コンスタンスさんが設立・運営する、ホームレスの女性や子供達のシェルター『ロータスハウス』に全額寄付される。また年に一度 アートオークションを開催し、その収益も全てロータスハウスの運営費に宛てられる。
社会的使命感を背景に動くコレクター、ディベロッパー、そして観光文化事業に力を入れる行政が一丸となって梃入れするのがマイアミのアートシーンだ。 そんな街の可能性に目をつけたのがアート・バーゼルであったが、2004年にウィンウッド・アート地区に進出したパリのエマニュエル・ペロタン画廊のオーナーは、「世界のアートフェアの衰退は、マイアミをもっと重要な場所にする。」と断言する。 
あるマイアミのアーティストは言う。
「ここのコレクター達には何か違うものがある。彼らには精神異常のようなところさえあると言える。ただアートの中にいるのではなく、どっぷりとアートの中にいる。」
作家主導ではないが、ここでは別の底力が働いているようだ。
【The Margulies Collection at the WAREhOUSE 公式サイト】
http://www.margulieswarehouse.com/index.html
プロフィール
NILEport NY : Ayano Matsumae
東京大学文学部・美学芸術学科卒業。東京で国内外のアパレル、イベント企画会社等を経て、フリーランスライターとなる。現在ニューヨーク在住、アート、ライフスタイル、フード・カルチャー等をカバー。
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