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NY Report vol.108 リセッションで来訪者が急増、アメリカ財政博物館
お札に隠された仕組みの数々をインタラクティブに展示 © Ayano Matsumae
お札に隠された仕組みの数々をインタラクティブに展示 © Ayano Matsumae
ニューヨーク証券取引所 © Ayano Matsumae
アメリカ建国前からの遺跡(?)や建物も数多く残るウォールストリート周辺。ここで最も有名なのはニューヨーク証券取引所だろう。今回の舞台はその1ブロック先、元ニューヨーク銀行の本社だった場所だ。
同銀行の創設者は、アメリカ建国の父の一人で、かつ自由市場資本主義の父とも言える、アレクサンダー・ハミルトン。
昨年1月、この「父の思い出の地」は新しい入居者を迎えた。『アメリカ財政博物館 (Museum of American Finance)』である。
今、詰まっているのは、お金ではなくアメリカ経済史という訳だ。
「経済がダウンすると、むしろ来訪者が増えるんです。経済やお金の仕組みについて、人々の興味が高まるのはむしろ不況の時です。」
こう言うのは、同ミュージアムのコミュニケーション・ディレクター、クリスティン・アギレラさんだ。
ミュージアム自体、1987年のブラックマンデーの際に、経済にまつわる体系的な記録の欠如を痛感した一人のトレーダーが、「これを繰り返さないように」との思いから創設したものだ。
さて、大理石のホールから優美な階段を上ると、プライベートバンキングであったという広々としたメザニンが広がる。
正面には巨大な3つのパネルがあり、ニューヨーク証券取引所、シティバンク・ボンド取引所、商品先物取引所の様子が映し出され、臨場感を高める。
展示の特徴を表すなら、「百聞は一見に如かず」と「インタラクティブ」であろう。
アメリカ建国まで遡る10000点以上の実物資料と最新テクノロジーが、とてもうまく組合わさっている。
例えば、『金融市場』コーナーでは、オレンジジュースやチーズ、石油といった商品先物も、実物やレプリカを用いた展示で一目瞭然。
商品先物の実物展示 © Ayano Matsumae
『お金:その歴史』コーナーでは今ではかつて存在した1万ドル札や10万ドル札を見る事ができ、タッチスクリーンを用いてドル札に仕込まれた秘密を見たり、『アントレプレナーズ』コーナーでは大物実業家達の特別インタビューを聞けたりとエンターテイメント性も十分だ。もちろん経済通には深い楽しみ方があろう。ミュージアムショップもかなり楽しめる。「ブル」グッズがやはり人気だそうだ。
力を入れているのが教育で、要望に応じて、幼稚園からMBAホルダー、企業のエグゼクティブまで、それぞれのニーズに応じたプログラムも設計する。
高校や企業からの申し込みが多いそうだが、高校生にもなると「ビジネスを始めるにはどうすればよいか?」という質問をしょっちゅう受けるという。近々の一般イベントとして、ニューヨーク証券取引所のCEOのトークも開催予定だ。
ミュージアムがこの地に越して来たことに、日本人なら『縁』を感じるだろう。
偉大なアレクサンダー・ハミルトンは、生まれたばかりの小国アメリカに自由経済資本主義の道をお膳立てし、歩ませた。
父の元に帰って来たのは瀕死の息子だった。
息子の運命や、いかに、である。
Museum of American Finance 公式サイト: http://www.moaf.org
プロフィール
NILEport NY : Ayano Matsumae
東京大学文学部・美学芸術学科卒業。東京で国内外のアパレル、イベント企画会社等を経て、フリーランスライターとなる。現在ニューヨーク在住、アート、ライフスタイル、フード・カルチャー等をカバー。
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