
© Ayano Matsumae
今やどこのミュージアムでも当たり前となったジオラマ展示だが、ここが元祖と言ってよい。
大きな壁に埋め込まれた空間いっぱいに、本物と見まがうような自然の背景画が描かれ、まるで生きているかのように自然な姿態の動物の剥製と一体化したジオラマは、大人も息を呑むほどに雄大で美しい。
アフリカ動物館で、そんなジオラマに特別な興味を示していたのが10歳の Kayleeちゃん。子供達の喧噪も全く気にならないようで、デジカメを構えてジオラマに近づいたり離れたり、ガラスの反射にも気を配りながら一つ一つを丹念に撮影していく。
「クリスマスにデジカメをプレゼントしてからすっかり夢中で、研究を重ねているの。将来はフォトグラファーになりたいと言っているわ。」とお母さんはちょっと嬉しそうだ。

© Ayano Matsumae
惑星達の浮かぶローズ宇宙センターは、そのものが太陽系のジオラマと言える。ガラス越しの本物の夜空を背景に迫力満点。
ミュージアムが世界に誇る見所のひとつが、脊椎動物の進化を辿る4階フロアだ。世界最大の脊椎動物の化石コレクションから、選りすぐりの600点ほどを骨格復元、5つの大ホールに展示している。
5億年以上前の水中で「脊椎」を手に入れた脊椎生物達が、様々なほ乳類に進化していく過程がフロアいっぱいに広がる。何億年も前に地上で繁栄していた生物たちを見ると、人類史なんて地球史の中のほんの一瞬だという事を改めて思い知らされる。大人の哀愁はおいておこう。
さて、お泊まりプログラムのハイライトは、小型フラッシュライトを手にしての4階探検だ。
子供探検隊のミッションは、闇の中で恐竜達の情報を集めること。しかし、暗闇に興奮した隊員達のフラッシュライトは、人魂のように、全くよからぬところを乱れ踊る。本物の化石を十分に見た後は、アイマックスシアターでの映画「恐竜は生きている!」の鑑賞会。
大画面いっぱいに裸子植物の繁栄する太古の地面が広がり、CGで再現された恐竜達が現れる。のんびり木を食べていたマメンチサウルスが、いきなり大量にフンをして去って行く。

© Ayano Matsumae
主要キャラクターは4階の恐竜達だ。彼らがどういう経緯で化石化したか、3億年前に繰り広げられた恐竜ドラマが目の前でリアルに再現され、発掘調査現場の実写記録フィルムと交差しながら物語が進んで行く。
ミュージアムは1885年の開館以来、世界の秘境に多くの調査探検隊を送り込み、現在の膨大なコレクションを構築した。1921年のモンゴル大遠征のフィルムは圧巻だ。画像も素晴らしく鮮明。この史上最大の発掘探検の指揮を取り、数々の恐竜を発掘したロイ・チャップマン・アンドリュースは、映画「インディ・ジョーンズ」のモデルでもある。
映画が終わると11時。大人達はもうフラフラだが、子供達の目はまだ興奮に輝いている。今夜の体験をきっかけに、将来の写真家や科学者、探検家が生まれてくるのかも知れない。
NILEport NY : Ayano Matsumae
東京大学文学部・美学芸術学科卒業。東京で国内外のアパレル、イベント企画会社等を経て、フリーランスライターとなる。現在ニューヨーク在住、アート、ライフスタイル、フード・カルチャー等をカバー。