ブラックミュージックの先駆者として揺るぎない地位を築いたミュージシャン、ジョイ・ビーが久しぶりに故郷を訪れた。
かつて心から愛し、そして失った恋人・ルルへの思いを胸に秘めながら…。
星組男役トップスター・安蘭けいのサヨナラ公演として書き下ろされた『My dear New Orleans─愛する我が街─』。
演技力・歌唱力ともに高い評価を得てきた彼女の魅力をたっぷりと味わえる。
20世紀初頭のニューオリンズが舞台。黒人と白人との間に生まれたジョイは、音楽の才能に恵まれながらも人種差別の現実に怒りと哀しみを抱え成長する。
白人に襲われかけた少女・ルルも同じ哀しみを抱えていた。ジョイは彼女を救い、「希望をもとう」と自作の曲を歌って聴かせる。10年後、偶然に再会したルルは美しく成長する一方、故郷を牛耳る男の愛人になっていた。ルルを思いながら歌う『Sweet Black Bird』の甘い声が客席をとろけさせる。
フィナーレに全員で歌い上げる『My dear New Orleans -My Home-』は圧巻。まっすぐにルルを愛するジョイと、ジョイの成功を祈って身を引くルルの別れの場面はどこまでも切なく、だからこそ美しい。
後半のレビュー『ア ビヤント』はフランス語で「またね」という意味。コミカルな演出もあれば、安蘭と次期トップの柚希礼音とのデュエット・ダンスも。
前後半ともに台詞や歌詞に「サヨナラ」を意識したフレーズがちりばめられている。それぞれ役に徹しつつ、送る側、送られる側の万感の思いが伝わってくる。
宝塚歌劇 星組公演
Musical
『My dear New Orleans(マイ ディア ニューオリンズ)』
~愛する我が街~
作・演出/植田景子
レビュー・ファンタスティーク
『ア ビヤント』
作・演出/藤井大介
【東京宝塚劇場公演】 2009年3月27日(金)~4月26日(日) TEL03-5251-2001