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ニューヨーク最大のアートショー、アーモリーショー開催(2) 今年の傾向
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Galerie chez Aalentin(Paris)のブースより:(右)Pierre Ardouvin, Ghost(2009),(左)Laurent Grasso, Sans titre (2008) © Ayano Matsumae
Galerie chez Aalentin(Paris)のブースより:(右)Pierre Ardouvin, Ghost(2009),(左)Laurent Grasso, Sans titre (2008) © Ayano Matsumae
Elias Crespin, Cuadrilateros (2009), Mixed media © Ayano Matsumae

Elias Crespin, Cuadrilateros (2009), Mixed media ©Ayano Matsumae

作品をサポートするハイテク

ハイテクやインターネットに関連したアートもますます増えている。多くの来場者の目を引いたのが、ベネズエラのElias Crespinのキネティックアート

『Cuadrilateros』であった。針金の正方形20個が空中で水平に並び、ゆっくりと動いている。波打ったり、撓んだり、砕けたり。壁に落ちる影が美しく、風や波の音が聞こえてきそうだ。足を止めた人々もいつまでも佇んでいる。動きは全て、コンピューターサイエンスを専攻した Crespin氏自身によってプログラミングされたもの。Crespin氏は言う。「できるだけシンプルな形をテーマに選ぶようにしている。ハイテクはただの道具に過ぎないんだ。」

ソロショーが増加傾向

多くのギャラリーは、この数年のアート景気が異常だったことを冷静に捉えている。売上げより、人目に触れることに意義を感じてやって来たディーラーも多い。バラエティーショップのように色々並べるブースは鳴りをひそめ、テーマを決めて、一人、または2~3人のアーティストの作品を置くショーが増えていた。

貧しさの豊かさを極めた、エレガントなソロショー

フランスの Galerie Frank Elbazは、フランス在住の Gyan Panchal のソロショーを行い、作品7つを完売した。作品は、大きな一枚の紙、ポリエチレンなどありふれた素材が、わずかに手を加えられて床に立てられたり壁にかけられたりしているだけ。うまく手をかけられて、張り、厚み、強度など素材の物質的な特徴が音色になって響き合い、空間に緊張感と調和を生じさせている。究極のシンプリシティから生まれるメロディーは、ヴァイオリンの旋律に近い。

段ボール、紙、ビニール、テープなど、安価でありふれた素材を用い、できる限り手を加えずに、モノそのものに詩を語らせるような作品は、今回のショーで多く目にしたが、Gyan Panchalの作品はそのエレガンスでとりわけ目を引いた。

ビジネスをアートにした、ビジネスにならないアート『アーモリー薬局』
Christine Hill,The Volksboutique Armory Apothecary

Christine Hill,The Volksboutique Armory Apothecary ©Ayano Matsumae

ソロショーの中で、最も目を引いたのは、ベルリンとブルックリンをベースとする作家、Christine Hill(クリスチャン・ヒル)の『アーモリー薬局(Armory Apothecary)』だ。ここでは作品は物ではない。一般人を巻き込んだ出来事である。

あたかも古い薬局のようなブース内。カウンターでは、薬剤師に扮したアーティストが各人の悩みや心配事に対応した『薬』を処方し、茶色の紙袋に入れてサインをしてくれる。値段は$20だが、人だかりと順番待ちの列ができている。

このビジネスが、結構繁盛しているのだ。もしアートという枠組みがなくて、人通りの多い路上やモールにでも出店したら、人々は$20を払うだろうか。

ヒルさんは他にも様々な店や職を作品とし、ビジネスとアート、実用空間とアート空間の境界を曖昧にし、その関係を問い続けている。

アートと日常生活の境界を破ろうと試みるアートは、「ハプニング」の創始者として有名なアラン・カプローからの太い流れであるが、アートという言葉は呪文のように、ある種特別な心理システムを作動させるようだ。

しかしこういうショーが、今のタイミングで、アートショーというビジネスの場で開催されたことは、予感的であった。

アーモリーショー公式サイト≫

プロフィール
NILEport NY : Ayano Matsumae
東京大学文学部・美学芸術学科卒業。東京で国内外のアパレル、イベント企画会社等を経て、フリーランスライターとなる。現在ニューヨーク在住、アート、ライフスタイル、フード・カルチャー等をカバー。
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