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NY Report vol.117 フードコンサルタント真保裕子さんインタビュー(1)今、日本食を外国に伝えること
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オリジナルレシピの一つ、キャロット葛ゼリー、はまちのタルタル

オリジナルレシピの一つ、キャロット葛ゼリー、はまちのタルタル

食とは親から子へ、人から人へと絶え間なく伝えられていくもの。

真保裕子さんは、異なる食文化を持つ人々に日本食を伝えるべく、米国、ヨーロッパを飛び回る多忙な日々を送っている。レストランや大学のためのメニュー開発、プロ、アマ向けの講演や実演、特別イベント、料理番組への出演など、そのシーンも様々。健康、季節感、サスティナビリティー、伝統、伝えたいことは山ほどある。

人気の竹の子ご飯

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オリジナルレシピの一つ、スモーキーな茄子、ナッツバターソース

オリジナルレシピの一つ、スモーキーな茄子、ナッツバターソース

味噌、塩、醤油、日本の伝統的調味料を訊ねて

「レシピだけではなく、人々に『日本食』と呼ばれるものを理解してもらえるように心がけています。味噌、しょうゆ、昆布はどういうものなのか。なぜこれらを使うのか。何か気に入ったものがあれば、毎日の生活に取り入れていただきたい。」

真保さんは、子供の頃食卓に並んでいた西洋料理の数々が、カナダから新潟の祖母へ、そして祖母から母へと伝わったものだったことを知り、大変驚いた。

「母方の祖父は新潟で病院を営んでいました。近くの教会にはカナダ人宣教師一家が暮らしており、なれない異国での生活を色々と助けていたそうです。祖母は料理の好きな人で、西洋料理のレシピを教わっては家族に食べさせていたとのこと。1920年代、30年代の話です。そんな時代に、日本の地方の家庭の食卓には欧米の食べ物が入り込んでいたのです。

父も東京で病院を営んでいたため、母は毎日患者さんや看護婦さんの食事を作り、その後に家族の食事を作っていました。料理への興味が芽生えたのは、そんな母の姿を見ていたためだと思います。また、患者さん達から地方の名産品をいただくことが多く、素晴らしい食材に触れる機会にも恵まれていました。

ですから、外国の方に日本の料理を教えるようになった時、まず食材やレシピのルーツにとても興味を覚えました。味噌の作り方は?醤油の作り方は?そういうところから理解したかったのです。」

「奥能登 珠洲天然塩」の製造工程(1)
「奥能登 珠洲天然塩」の製造工程(2)

写真左/「奥能登 珠洲天然塩」の製造工程(1): 原料は能登半島の海水。竹のすだれに海水を何度もかけ、海水を濃縮させる「流下式塩田」 写真右/「奥能登 珠洲天然塩」の製造工程(2):濃縮した海水は「荒炊き」と「仕上げ炊き」でゆっくりと何日間も煮詰められ、塩の結晶となっていく。

ここで真保さんが行ったのが、古式製法の実態調査だった。味噌、醤油、塩、酢、日本の寿司のルーツと言える鮒寿司など、古式製法を守る全国の製造所に取材を取り付け、足を運んだ。素晴らしさに打たれ、20回以上通わせてもらった製造所もある

The Japanese Kitchen(Harvard Common Press)

2000年に英語で出版された「The Japanese Kitchen(Harvard Common Press)」はスペイン語にも翻訳された。

そして日本の食材、道具、その歴史、扱い方に250のレシピを加え、4年がかりで一冊の本を書き上げた。今ほど日本食への関心が高まっていなかった当時は、出版元を探すのにも苦労したというが、2000年に「The Japanese Kitchen」( Harvard Common Press 社)として出版されると、アメリカで優れた料理関係の本に贈られるIACP Awardにノミネートされ、多くのシェフや料理関係者に影響を与えた。

真保さんのレシピは、その土地の食材に、日本の調理法を組み合わせるのが基本。日本の素材は、異国では入手できないことが多いからだ。

「ニューヨークに来た時には、日本のよい素材が全く手に入らず、途方に暮れましたが、醤油、味噌、昆布や鰹節など、基本となる調味料にきちんとしたものを使えば良いと思い始めたのです。」

今ではフレンチを初め、ニューヨークの数多くのトップシェフ達が日本の調味料の魅力にほだされ、模索の過程にいる。

真保裕子(Shimbo Hiroko)

真保裕子(Shimbo Hiroko)
ヒロコズ・キッチン主宰。フードコンサルタント。1999年ニューヨークに活動拠点を移す。 米国、ヨーロッパで、組織向けコンサルタントの他、執筆、テレビ・ラジオ等への出演、料理専門学校等を通して、土地の食材を活かした日本料理、日本的食習慣の提案を続けている。主なクライアントは Saveur, National Culinary Review、 Art of Eating(各フード誌)、P. F. Chang's China Bistro group (レストラングループ) 、Mutual Trading Company(共同貿易株式会社) 、出演メディアはPBS(アメリカ公共テレビ局)、フードネットワーク(ケーブルテレビ局)、NPR National Radio、DEVOUR TV (インターネットテレビ局) 等 。著書に「The Japanese Kitchen(Harvard Common Press, 2000)」「The Sushi Experience(Knopf, 2006) 」がある。

公式ウェブサイト: http://www.hirokoskitchen.com/home

プロフィール

NILEport NY : Ayano Matsumae
東京大学文学部・美学芸術学科卒業。東京で国内外のアパレル、イベント企画会社等を経て、フリーランスライターとなる。現在ニューヨーク在住、アート、ライフスタイル、フード・カルチャー等をカバー。

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更新日:5月15日

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