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BIG BAMBÚ, December 2008 ©Mike + Doug Starn

BIG BAMBÚ, December 2008 ©Mike + Doug Starn

ある時ふと人生を振り返る。誰にでもある瞬間だ。しかし真剣にそれを振り返ることは、パンドラの箱を開けるのに等しいことかも知れない。そして、創造的な人間はそれを開けずにはいられない。一卵性双生児の制作ユニット Mike + Doug Starn(マイク+ダグ・スターン )は、 今そんな過程にあると言える。

©Ayano Matsumae

©Ayano Matsumae

BIG BAMBÚ, December 2008 ©Mike + Doug Starn

BIG BAMBÚ, December 2008 ©Mike + Doug Starn

BIG BAMBÚ COLOR (DETAIL) SEP 15TH - DEC 5TH, 2008 (2009, Archival Inkjet Print on Gelatin Coated Zerkall) ©Mike + Dough Starn

BIG BAMBÚ COLOR (DETAIL) SEP 15TH - DEC 5TH, 2008 (2009, Archival Inkjet Print on Gelatin Coated Zerkall) ©Mike + Dough Starn

わざとボロボロにした紙に写真を焼き、スコッチテープで繋げて巨大化させるという独特の作風に覚えのある人もいるかも知れない。20代半ばにして世界のアートシーンで頭角を現して以来、ダイナミックさと儚さを同時にたたえた強いメッセージ性を持つ作品が、人々の心を捉えて来た。その後の何百という国際的な展覧会歴や、作品を所蔵する華やかな美術館リストが、彼らの現代アートシーンにおける重要性を物語っている。

そんな二人は、多忙な日々の合間を縫って、2008年の9月からかなり風変わりな実験的アートプロジェクト『ビッグ・バンブー』に取り組んでいる。マンハッタンから電車で90分ほど北上した郊外の街、ビーコンの廃屋となった工場で、2000本以上の竹をナイロンロープで繋いでいくという試みだ。

メインストリートを少し離れた場所にあるその工場は、ちょうど代々木競技場のアリーナを縦半分に割った程の巨大空間を持ち、かつてはジェフ・クーンズ、フランク・ステラ等の作品を初め、数多くの重要なアートを生み出してきた、アート専門の鋳造所だった場所だ。

今やがらんどうとなった建物の大きな搬出入口から、竹の大津波というべき巨大構築物が見える。

複雑に絡み合った竹が塊となって天井まで膨れ上がり、大きなアーチを描きながら急降下している。これだけの大構築物が支えなしに成立するには、設計図や構造計算等のシナリオがありそうなものだが、そんなものはなく、制作は全くカオティックに自律的に進んでいるという。

「これは人と同じように、常に動いて変化する、とても有機的な作品なんだ。 僕たちにとってビッグ・バンブーは、今までの47歳の人生を振り返る試みだ。現実的でとても強力な方法で、20代の自分と今の自分がどれだけ違っているか、すなわち物事が時間の中でどう変化するかを見る試みなんだ。

20代の僕と今の僕は同じ人間だけど、今の僕は明らかに20代の僕ではない。長い時間をかけて作品を作る場合には、それを作る人達だって同じではない。これは時間についての作品で、僕たちにとって重要なのは、モノそのものではない。建物のリースが切れる2010年が一応の終焉と言えるが、これは完成のないプロジェクトなんだ。

これから、約140台のウェブカメラを、全体の画像が一つの画面になるよう上下等間隔に設置して、全体の成長の様子をインターネット上でリアルタイムに見られるようにする予定だ。着想自体は1990年に遡る。小さなモデルは作ったけど、実際のスケールで一体どうなるのか全く未知数だった。とにかく昨年、素晴らしい場所が見つかったから、うまくいくと信じてスタートしたんだ。」

マイク+ダグ・スターン プロファイル
Mike + Doug Starn

©Timothy Greenfield Sanders

©Timothy Greenfield Sanders

1961年米国NJ州生まれ、一卵性双生児のアートユニット。1984年、ボストン美術館付属美術学校修士課程修了。 独特の手法で写真を用いながら、光、スケール、時間などをテーマとしたメッセージ性の強いマルチメディア作品を制作。2005~2009年、ニューヨーク地下鉄サウスフェリー駅に永久保存インスタレーション「 See it split, see it change 」制作。現在ビーコンで 実験的アートプロジェクト「ビッグ・バンブー」 継続中。2010年、デトロイト・インスティチュート・オブ・アーツにて、「ビッグ・バンブー」展開催予定。日本での展覧会歴は『ダグ&マイク・スターン』展( 直島コンテンポラリーミュージアム、1993年)、巡回展 『GANJIN-鑑真和上と世界の写真家展』( 唐招提寺平成大修理関連企画、2000年~)等。MoMA 、メトロポリタン美術館、ホイットニー美術館初め、日本では直島コンテンポラリーアートミュージアム、横浜美術館、水戸芸術館等に作品所蔵。NY在住。出版物、展覧会スケジュール等は公式ウェブサイトに掲載。
公式ウェブサイト:http://www.starnstudio.com/

NILEport NY : Ayano Matsumae

東京大学文学部・美学芸術学科卒業。東京で国内外のアパレル、イベント企画会社等を経て、フリーランスライターとなる。現在ニューヨーク在住、アート、ライフスタイル、フード・カルチャー等をカバー。

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更新日:2009年6月12日