リーダーのかけ声を合図に歓声がアルプス南嶺にこだまし、エンジ色の角帽が乱舞する。スイスの古城エーグル城で毎年初夏に繰り返される光景、いまや同地の風物詩ともなったスイス公文学園高等部(Kumon Leysin Academy of Switzerland=以下KLAS)の卒業式の光景である。
そこには3年前の入学時に漂わせていた不安げな面影はもはやない。寄宿舎生活を経て成長した彼らの表情は、青雲の志に貫かれた青年のそれに変わっている。そのまなざしがすでに見据えるのは、翌日からの旅先となるそれぞれにとっての全世界だ。
『国際社会』や『国際人』といった概念が日本に定着しはじめた1990年、KLASはスイス・フランス語圏の高級保養地レザンに開校した。開校当時、日本人の生徒を対象とした高校でありながら、ネイティヴスピーカーの教師たちによる授業を基本とするモデルは、国際教育における先駆者的な文脈で語られることが多かった。だが、それから約20年で日本の教育事情は大きく変わった。日本では英文科のみに限られていた全講義を通じて英語による講義という内容、つまりKLASがすでに20年来実践してきたカリキュラムを、今日では多くの有名私大が取り入れるにいたっている。
しかし「海外で生活し英語を流暢に話せるということと、国際人という概念はかならずしも同義ではない」と渡邉博司校長は強調する。「日本人であるというアイデンティティを身につけてこそ成立する」のが同校の国際教育像である。個々のアイデンティティは、出自の文化を認識してはじめて形成される。それだけにKLASでは国語や日本史等の授業は、経験豊かな日本人教員が日本語でおこない、伝統文化に根ざしたさまざまな課外活動も盛んだ。日本政府のみならずスイス・ヴォー州からも教育施設の認定を受けるというKLASの立脚位置を、ウィリアム・マンガン副校長は「ハイブリッド教育」という単語で表現する。
グローバリズムの台頭やインターネットに代表される情報化により、今日の世界そして日本にはさまざまボーダレス環境が出現している。つまり社会自体がハイブリッドへと急激に変貌をとげつつある。ゆえに求められるのが既出の日本人たるアイデンティティであり、それが根ざす文化的な価値規範なのだ。KLASが掲げる教育理念のもうひとつの柱~全寮制による人間形成という側面が関心を集めるのも、こうした社会の変化と無縁ではない。核家族化および少子化が進行し、社会性の欠如に起因する様々な問題が表面化する今日、集団生活の規律のなかで養われる相互扶助や協調性そして道徳観といった人間的資質の形成は、もはや学校教育の枠を超えた人間教育の場といって差し支えないだろう。
卒業式の翌朝、寮生活で苦楽を共にした青年たちは「また会おう! 世界のどこかで」といってアルプスを降りてゆく。3年間で手に入れた財産、一生涯を通じた仲間たちに手を振りながら。
| 東京 | 8月23日 (日)、 11月29日(日) |
|---|---|
| 大阪 | 8月30日 (日)、 10月4日(日)、 11月23日(月・祝) |
| 名古屋 | 9月6日 (日) |
| 横浜 | 9月27日 (日)、 11月8日(日) |
| 大宮 | 10月10日 (土) |
| 仙台 | 10月12日 (月・祝) |
| 福岡 | 10月24日 (土) |
| 札幌 | 11月3日 (火・祝) |
※学校説明会の予約は必要ありません。また無料でどなたでも参加していただけます。
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問い合わせ
スイス公文学園日本事務局 TEL045-853-8231 http://www.kumon.ac.jp/klas
更新日:2009年6月22日
























