NILEport(ナイルポート)富裕層向けウェブマガジン&会員制SNSコミュニティサイト

NY Report vol.120 Mike + Doug Starn(マイク+ダグ・スターン )インタビュー(2)

  • 2
  • 1
See It Split, See It Change (2005–2008, South Ferry Terminal) ©Mike + Doug Starn

See It Split, See It Change (2005–2008, South Ferry Terminal) ©Mike + Doug Starn

ビッグ・バンブーはどこから来たか。
BIG BAMBÚ December 2008 ©Mike + Doug Starn

BIG BAMBÚ December 2008 ©Mike + Doug Starn

Sphere of Influence, 1990 ©Mike + Doug Starn

Sphere of Influence, 1990 ©Mike + Doug Starn

See It Split, See It Change (2005–2008, South Ferry Terminal) ©Mike + Doug Starn

See It Split, See It Change (2005–2008, South Ferry Terminal) ©Mike + Doug Starn

作業を進めるのは、プロのロッククライマー達だ。竹やぶの上で、息を合わせて長い竹を渡し、新しい結び目を作っていく。

「いくつかのパーツを床に広げて、繋いでみることから始めたんだ。最初の数週間は、ネットワーク、強度、接続、どれだけ上昇させられるかを理解するための実験の繰返しだった。

でも繋がり始めると、互いの竹がしっかりと支え合って、たとえ一つがずれても違う竹に支えられるというように、自律性を持ち始めたんだ。そしてそれ自体が梯子になり、どんどん組み上げる事ができた。繊維のように絡み合い、カオス的なネットワークが広がりだしたんだ。もちろんストレスを受けてだめになる竹も出てくる。でもそれを他の竹が補い合って、組織体の中で全体の機能と統一性を維持する、自己治癒能力を備えている。

それぞれの竹は結局全ての竹と繋がっていて、それぞれが触媒ととして互いに影響を与えながら、全体の結合の変化を促しているんだ。

初めは鉄のパイプを使うつもりだったけど、重過ぎて制作には向いていなかった。ある日、竹のことを思いついたんだ。竹は全くパーフェクトな素材だ。軽くて柔軟性に富み、とても強いからね。」

ビッグ・バンブーの前方を見ると、組み立て途中の巨大な球体が天井からぶら下がっている。ビッグ・バンブー構想の源となった作品『Sphere of Influence (勢力圏)』だ。

「これを取り囲むようにビッグ・バンブーを成長させようと思っている。」

第二次世界大戦前の世界地を写したフィルムをバラバラに切断し、万力のような器具で圧して曲げ、それらを鉄パイプで繋いで地球儀とした同作品は、1990年、ドイツ統一直後にベルリンで開催された「メトロポリス」展のために制作されたもの。

「ストレートなラインが結合したり分岐したり、ネットワークを形成して何かを形作ること、これがビッグ・バンブーの着想だった。」

もう一つ、重要な作品がある。この3月に完成したばかりの、マンハッタン南端の駅・サウスフェリー・ターミナルのコンコースの壁を埋め尽くす永久展示作品、See It Split, See It Change(それが分岐するのを見よ、それが変化するのを見よ)。大きく4つのパートから成り、制作費1億円以上、4年の歳月をかけてインストールされた大作で、マンハッタンの地理的・歴史的なスタート地点と言える同駅から、島の変化に思いを馳せたものだ。

その中でビッグ・バンブーの象徴とも言えるのが、マンハッタン島のモザイク地図という。

「作品を見てくれたかい?モザイクは、1640年のまだ人間の手が加えられていないマンハッタン島の地形図だ。その上に交通網などのネットワークが伸びた今の地図を重ねた。同じ島だけど、今のマンハッタン島は全く違った新しい島だ。交通網の中を流れる人や意味が、島のネットワークを変化させ続けている。ビッグ・バンブーで起こっていることはこれと同じことなんだ。」

マイク+ダグ・スターン プロファイル
Mike + Doug Starn

©Timothy Greenfield Sanders

©Timothy Greenfield Sanders

1961年米国NJ州生まれ、一卵性双生児のアートユニット。1984年、ボストン美術館付属美術学校修士課程修了。 独特の手法で写真を用いながら、光、スケール、時間などをテーマとしたメッセージ性の強いマルチメディア作品を制作。2005?2009年、ニューヨーク地下鉄サウスフェリー駅に永久保存インスタレーション「 See it split, see it change 」制作。現在ビーコンで 実験的アートプロジェクト「ビッグ・バンブー」 継続中。2010年、デトロイト・インスティチュート・オブ・アーツにて、「ビッグ・バンブー」展開催予定。日本での展覧会歴は『ダグ&マイク・スターン』展( 直島コンテンポラリーミュージアム、1993年)、巡回展 『GANJIN-鑑真和上と世界の写真家展』( 唐招提寺平成大修理関連企画、2000年~)等。MoMA 、メトロポリタン美術館、ホイットニー美術館初め、日本では直島コンテンポラリーアートミュージアム、横浜美術館、水戸芸術館等に作品所蔵。NY在住。出版物、展覧会スケジュール等は公式ウェブサイトに掲載。
公式ウェブサイト:http://www.starnstudio.com/

NILEport NY : Ayano Matsumae

東京大学文学部・美学芸術学科卒業。東京で国内外のアパレル、イベント企画会社等を経て、フリーランスライターとなる。現在ニューヨーク在住、アート、ライフスタイル、フード・カルチャー等をカバー。

  • この記事をソーシャルブックマークへ投稿 :
  • Yahoo!ブックマークへ投稿
  • Googleブックマークへ投稿
  • livedoorクリップへ投稿
  • はてなブックマークへ投稿
  • deliciousへ投稿
  • Technoratiへ投稿
  • Diggへ投稿

更新日:2009年6月26日