デザインや建築とは、外見の斬新さや驚きを与えればそれでよいというものでは、もちろんない。エクステリアが、そこに居住する人間を犠牲にするということがあってはいけない。本来デザインとは人間の存在や居住性をこそ高めるべきものだ。
それを象徴的に示すのが、デザインの最先端「多摩美術大学八王子図書館」(八王子キャンパス)だろう。新たな居住空間の可能性を模索し、「新しいリアル」を提唱する建築家・伊東豊雄氏が設計した空間には、大きな弧を描くアーチ形のエントランスにガラス窓があり、その奥には不規則なアーチが続いていく。その光景は、温かみのある洞窟のようでもあり、木が生い茂る森のようでもあり、人間のDNAのようでもある。均質な四角のグリッドを単位として構築された一般の建築に人間性を感じるのは難しいが、滑らかな曲線に変化させたグリッドに支えられた空間には、人間らしい柔らかい感覚に合致するような優しさと造形の美しさが共存する。そこには人間の存在を感じることができる有機的な空間が広がり、その背後には「空間ありき」ではなく、あくまで「人間ありき」の哲学がある。
こうした最先端デザインの潮流に敏感に反応し、その哲学をドライビングコンフォートへと昇華させたプレステージサルーンが存在する。車本来の「乗る」機能を損なうことなく、それでいながらエクステリアの美しさを追求した「シトロエン C5」だ。
例えば、エクステリアと室内の関係である。通常、車高を低くすることで空気抵抗を減らし、ドライビング性能を最大化させる。しかし、高さを抑制するため、その分車内空間は狭くなり、居住性は落ちてしまう。つまり、人を犠牲にしてしまうのだ。だが、C5は違う。フロントからリアにかけて、まるで筆で描いた一本の線のような丸みを帯びたボディラインが空気抵抗を抑えるため、居住性を損なわず、あくまで人間主体の走りが実現される。これをさらに高めるのが、柔らかな曲線が美しいフォルムを描くレザーシートだ。バックレスト上部の角度調整機能が備わり、微妙な位置にも調整できるため、身体に吸い付くようなジャストフィットのポジションをもたらしてくれる。さらにシトロエン独自の油圧サスペンション「ハイドラクティブⅢプラス」が車体を一定に保つことにより快適な乗り心地を実現する。まさに「人間ありき」の哲学が随所にあり、走る悦びを至上の価値へ変えてくれるだろう。
こうした哲学をシトロエンC5が体現しえたのも、フランスには「Art de Vivre(美しく生きる)」という生活信条があるからだろうか。生活において、豊かな時と空間、そして感性を求める彼らの美学だ。豊かな時を刻む最高の走りを体感したい。
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撮影協力:多摩美術大学八王子図書館
更新日:2009年8月11日







