「野は嵯峨野さらなり」。
『枕草子』にそう書かれるように、嵯峨は王朝人たちに愛でられた場所であり、古の雅の薫りが今も濃く立ち込める。その磁場となっているのが、旧嵯峨御所 大覚寺 門跡だろう。雅とは本来「宮ぶ」、つまり宮廷の身ぶりや美意識のことだという。第五二代・嵯峨天皇の離宮として造営された歴史をもつだけに、雅やかな王朝世界の面影を偲ぶことができる、と嵯峨を案内してくれたのはホテルグランヴィア京都コンシェルジュの山本美砂さん。
「ここにいると、今にも平安時代の貴族が現れてもおかしくない、そう思わせる趣がありますね」と、大覚寺の宸殿と御影堂や正寝殿などの諸堂を結ぶ「村雨の廊下」を歩き、苔むす中庭を眺めながら、そう話してくれた。境内の東には、周囲約1・の「大沢池」がある。平安時代に造られた日本最古の庭苑池だ。「大沢池越しに見える風景を、きっと古の人たちも見ていたのでしょう」。今も仲秋の名月の時期には唐様の船を池に浮かべて観月を愉しむ『観月の夕べ』が行われる。
もちろん大覚寺が祈りの聖域であることも忘れてはいけない。弘仁九年(818)に国中に疫病が流行し、多くの死者が出て深く心を痛めた嵯峨天皇が、弘法大師の上奏により、般若心経を写経したところ、疫病がおさまったという。この浄行に倣い、国家の異変のたび民を救うために行った、光格天皇ら五天皇の写経が勅封心経として奉祀されている。
小倉山の方へ足をのばすと、二尊院、常寂光寺、厭離庵など『新古今和歌集』の選者でもある藤原定家が小倉百人一首を編んだ山荘跡とされる地がある。さらに嵐山方面へ続く竹林に囲まれた道を通ると、『竹取物語』の世界に迷い込んだような心地よい錯覚にとらわれ、野宮神社の黒木鳥居を見て『源氏物語』の雅に浸る。
「嵯峨の小道には趣のある見所がたくさんあるので、自然や町並みを見ながら歩いていると飽きることがありません。朝早めにホテルを出発して、昼食をとり、また散策する。都会の喧騒から離れて、ゆっくりと時間をかけてウォーキングするには最適の場所ですよ」と、嵯峨の雅を巡る旅の愉しみは尽きないようだ。

芸艸堂
明治24年木版摺技法による美術書出版社として創業。伊藤若冲や神坂雪佳らのオリジナルの版木から摺った美しい木版画が揃う。また、版木蔵には貴重な版木も多く残され、再版される日を待っている。手前から/伊藤若冲「海樹神鶏図」、神坂雪佳「名歌六仙」「使丁遊戯」各10,500円。
京都市中京区寺町通二条南入妙満寺前町459番地
TEL: 075-231-3613
営業時間: 9:00~17:30
休: 土・日・祝祭日
ホテルグランヴィア京都
JR京都駅中の「ホテルグランヴィア京都」に滞在すれば、嵯峨探訪の拠点「JR嵯峨嵐山駅」へのアクセスも至便。
京都の旅にはグランヴィア京都がお勧めだ。
京都市下京区烏丸通塩小路下ル
JR京都駅中央口
TEL: 075-344-8888
URL: http://www.granvia-kyoto.co.jp/
更新日:2009年11月9日













