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春と共にやってくるイースター(復活祭)。この日が近づくと、街にはうさぎを模ったチョコレートや美しい模様をつけた卵の置物、ひよこの砂糖菓子などが並び始めて、ほのぼのとした気分にさせてくれる。
 
  
今年のイースターは4月8日。もとは、キリストの復活に北欧の異教徒の春祭りの持つ"再生"のイメージが重ね合わされて誕生した最も古い祝日で、信者の人々にとってはクリスマスよりも大切な祝日だ。

ブラジルの「リオのカーニバル」やニューオーリンズの「マルディ・グラ」も、実はイースターに関連する行事である。この後40日間も続く「レント(受難節)」に備えて、心置きなく羽目を外しておこうというお祭りだ。

 
  
その翌日の水曜日は「灰の水曜日」と呼ばれるレント初日。懺悔のしるしとして額に灰で十字架をつける慣わしがある。今年は2月21日で、マンハッタンの往来でも額に十字架をつけた人を多く見かけた。レントの間お酒や肉類を絶つ人も多い。

レント明け、キリストがエルサレムに入場したイースター直前の週は「Holy Week」と呼ばれ、教会で様々な儀式が行われる。そしてイースター当日。その後も40日後にキリスト昇天、50日後には精霊降誕と続くので、合計すると90日間以上、実に一年の4分の1を費やす計算となる。この日がどれだけ重んじられているか、これからも想像がつく。

 
  
しかし、春を祝う楽しい風習も盛りだくさん。いずれも宗教的なこだわりにとらわれず、みなで楽しめるものばかりなのが嬉しいところ。

この日は家の中に美しく彩色したイースターエッグを飾って、ひな鳥が描かれたカードや、うさぎ型のチョコレートを贈りあい、子供達は家や公園、教会の庭などで隠された卵を探す「エッグハント」に興じる。卵、ひな鳥、うさぎは、それぞれ復活と再生、誕生、多産繁栄のシンボルである。全て動物なのが興味深い。


中でもユニークなのが、かれこれ120年以上の間5THアベニューで行われている「イースターパレード」と呼ばれるもの。

 
  
今年は雪もちらつく寒さ。しかし昼ごろに行くと、すでに通りは人でいっぱいだ。パレードと言っても「イースターボンネット」と呼ばれる帽子をかぶった人々が通りを気ままに歩くだけなのだが、この帽子が実に力作揃いなのである。花輪をあしらったハットに正装を合わせるのが正統派。しかしこちらの人はどうも仮装好きのようで、歩くオブジェかジオラマか、という人もいれば、盛大に飾り付けた帽子をかぶったまま動けない人もいる。みな気軽に撮影に応じてくれ、通りは大撮影大会の会場と化す。

もともとこの「イースターパレード」は、正装した人々が、通り沿いの教会から教会にイースター・フラワーを運んでいたことに由来する。かつて大事なイースターのために、春らしい新しいドレスと帽子を整えるのが女性の楽しみのひとつであった。特に帽子は「イースターボンネット」と呼ばれ、花やレース、リボンで特別に飾り付けられて、どんどん華やかなものになっていった。帽子着用の習慣がほとんどなくなった今では、これだけが一人歩きして主役になってしまったのである。

 
  
日本でも、神が宿る桜の花をたたえて豊作を祈る行事が、花見という名の宴会に化けた。春の到来を喜ぶ気持ちは古今東西変わらないし、人間も変わらない。そういう気持ちに、細かな違いを越えて人々が共感を見出していけるのは素晴らしい。


NILEport NY : Ayano Matsumae

東京大学文学部・美学芸術学科卒業。東京で国内外のアパレル、イベント企画会社等を経て、フリーランスライターとなる。現在ニューヨーク在住、アート、ライフスタイル、フード・カルチャー等をカバー。

    


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